《私の本棚 第四十二》 2000年(平成12年)9月  

        
「イソップ物語」 イソップ 

 一時、グリム童話の原作はこれだ、といって沢山の本が出版され店頭に並んでいました。イソップ物語にはそのようなものは無いと思います。イソップは二千六百年くらい昔のギリシャ人で、この物語を文章にしたのではなく人々に語り聞かせていたそうです。その数百年後に文字に記録されたそうです。現代の日本でも、アイヌの伝承を記録している人がおられるようです。
 「アリとキリギリス」 「ウサギと亀」 などはあまりにも有名で、そんなに遠い国の、そんなに古い時代の話だとは余り意識しないほどです。つい先頃もテレビで、登山をするグループを分けるのに 「ウサギさん組と亀さん組に分けます」 といっていました。使っている意味はイソップ物語とは全く違うのですが、きちんと元の意味を承知の上で使っておられ、尚かつ聞く方も何の違和感もありません。物語集の沢山の話からは教えられる事ばかりで、人間としての根本的な在り様は、どんなに時代が変わろうと普遍であることを知ります。 
中央アルプス駒ケ岳







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