《私の本棚 第三十四》       2000年(平成12年)1月
    さまよえる湖」   ヘディン   

 子供の頃は娯楽と言っても何もない時代でしたから、薄暗くなるまで表で遊んで、ラジオを聴きながら夕食をするのが普通の生活でした。そんな時にこのスエーデン人、スエン・ヘディンの探検物語を何度かにわたって聴いた記憶があります。
 今では、タクラマカン砂漠やゴビ砂漠を南北にさまよう (移動する) 広大なロプ・ノール湖は、証明し認められています。しかし発見発表された当時は、世界で一笑に付されていました。ある程度時間の流れを理解しうる範囲で、湖が移動するはずがないと言うことが常識でした。しかしこの湖は約1600年周期で移動することが分かっています。敦煌や楼蘭は現在では砂漠の中の遺跡ですが、かつてはロプ・ノール湖畔にあったことも知られています。しかもヘディンが1935年に調査した湖は、今は全くその姿はありません。仕組みはこうです。ヒマラヤ山脈を源にする水は砂漠の砂の下に流れ込みます。そして地殻変動で、たらいの中の水を揺するように移動します。
  壮大な自然の働きです。  
伏見稲荷




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