《私の本棚 第十六》    1998年(平成10年)7月

     
「チップス先生さようなら」 
                ジェームス・ヒルトン

 確か平成7年か8年だったと思いますが、文部省推薦という懐かしいお墨付きの映画を見ました。「陽の当たる教室」と いうこの映画を見ていて、子供の頃に読んだ 「チップス先生さようなら」 を思い出しました。出世競争という言葉とはあまり縁がなかった主人公ですが、子供たちの人気や信頼は絶大。主人公チップス先生は、今は定年をとっくに迎え、学校のすぐ近くで静かに暮らしています。退職していても、学校の鐘とともに生活をしています。かつての教え子は英国紳士になり、その子供達が学校の帰りにおやつとお茶を目当てに訪れます。チップスは、過去と現在の間を想いで豊かに暮らしています。
 「チップス先生さようなら」 という言葉は二箇所あります。一つは、若くして亡くなった奥さんと結婚する前の日、生真面目な自分をからかってそう言われた時。もう一つは、自分の命の火が 消える前の日、いつものように子供を送り出した時の二度です。
 光り輝くような、スポットライトを浴びるような人生ではなかったけれど、し っかりと人生を歩いた姿がよく伝わってきます。 
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