《私の本棚 第十五》    1998年(平成10年)6月

                  挿秧(そうおう)    范成大  作

  密移疎緑毯平

行間清浅穀紋生

誰知細細青青草

中有豊年撃壌声

 
種(う)うること密に 移すこと疎に 緑毯平らかなり

行間清浅(ぎょうかんせいせん) 穀紋(こくもん)生ず

誰か知らんや 細細青青(さいさいせいせい)の草

中(うち)に豊年撃壌(げきじょう)の声有らんとは

 
  ( 訳 )

 苗代にぎっしり植えていた苗をまばらに本田に移し植えると、一面、平らに緑の絨をしいたよう。

 苗の間の清らかな浅い水にはちぢみの紋のような波がたっている。

 この細くて青々した草の中に、すでに豊年を祝う撃壌の声(太平を謳歌する歌声)のあることを誰も知るまい。

                                           (石川忠久氏訳)

 いよいよ田植えシーズン到来。激変する現代も、800年昔の時代も心風景は同じ。

住宅地の田んぼ





   住宅地周辺の田圃

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