長距離サイクリング、伊勢本街道(R369)を経て伊勢旅行     
    
2003/5/5(月)         54歳


4月始め頃に嵐山で見知らぬ男性から声をかけられた。精華町から来たというこの人は、渡月橋付近からぼんやりと上流を眺めている私に「すみません、あなたは金沢まで走った人と違いますか」と言う。なぜ判ったのか尋ねると、サイスポジャイアントの自転車と書いてあったから判ったとのこと。何でも4〜5人のグループでロード(ロードレーサータイプの自転車)を楽しんでいるという。そのメンバーで是非自分たちも走ってみようとのことらしい。40歳前後と見受けられたので、大丈夫行けますから是非挑戦してくださいとエール。その時にこのの伊勢旅行と、秋に予定している出雲旅行の話をした。
さあ春の遠足だ!。日本の街道という週刊誌で、伊勢へ行くには3つのルートがあると判った。北の方から
伊勢街道、伊勢本街道、伊勢参宮道伊勢街道は奈良県榛原町を起点に考えると、名張市、青山町、久居市を経て伊勢へ向かう道。少し大回りの感じだ。伊勢本街道はススキで有名な曽爾村、御杖村、美杉村JR名松線の終点奥津などを経て伊勢へ至る。厳しいが短いルート。伊勢参宮道は本街道とほぼ並行して走り、高見峠を越えるルートだ。同じ走る なら坂道を走ってみよう。予定では約170qの行程、内80q近くが山中になる。今なら走れるだろう・・・

あんな本こんな本

自宅を朝5:30分出発の予定が1時間の遅れになった。例によって出発前の記念写真。
しゃがんで写してや!(足が長く写るように)。


 
何となく足の向いた道からR24へでる。昼は暑いとはいえ肌寒い。膝上の筋肉が痛い。何故かしらずっと続いている。出発の遅延といい足の具合といい少しは気に掛かる。奈良の古市交差点には 少し遅れ気味だ。例によってメモを取る。まあこれはお決まりだ。桜井から左 折して榛原へ向かう道は、自転車では初めてだ。 この165号線の坂はきつい。気温も上がってきて堪える。暑さと勾配のきつさで何回も休憩をする。地図を見ているときは、坂は 予想していなかった。榛原の酒造店向かいで休憩。しかし、酒造店前というより保険代理店向かいというがぴったし。此処は以前 妻と曽爾村の曽爾高原へススキを見に行ったときに車で通った記憶がある。カメラを構えた位置で休憩。さあ、これからが山岳道路本番だ。走るにつれて腹が減ってくる。コンビニで弁当かにぎりめし を 買うつもりが、タイミングを外してしまっ た。大丈夫かな。ガス欠にならないか 、そんな不安を抱え たま ま走る。今日は失敗か な?朝の出発は遅 れるし、食料の補給はできなかったし、帰ろうかな? 
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  9:17 右奥が酒造 店
 
しかし それは悔しいし・・・。そんな思案をしつつも曽爾 村に入った。「ストア27」の看板が目に入る。以前此処で妻が何か飲み物を購入していた。店内に入って弁当とお茶をを購入。やれやれ一安心。しかし行くか戻るかまだ思案してい る。ここは曽爾村山粕。栂坂峠(700m)も越えてきた。下り坂ではブレーキングをしてさへ63Km/Hを記録。まるで穴ぼこにはまり込んだ感じだ。戻るのもいささか気が重い。行くか!。土 庄原トンネルを抜けて桜 峠(560m)から倶留尊山を遠望する。ススキのきれいな所だ。しかし随 分高いところへ登ったも んだ。この暑いのに我ながら感心する。けれどいくら走って も、完走できるかどうか不安が付きまとう。後で分かったことだが、30度を超す真夏日だった。あまりの急坂の連続に太股は悲鳴を上げている。 
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  ↑倶留尊「くろそ」山遠望              (右の3枚は山裾の「曽爾高原」風景を別の機会に撮影したもの)
乳酸が 溜まって苦しい。自分にとっては、信じられないくらいの坂道が続く。「線路は続くよどこまで も」という歌が あったが、此処はどこまでも坂道が続く。次は牛峠(560m)と飼坂峠(400m) だ。牛峠と飼坂峠の中間ある多気は南北朝時代の北畠氏の本拠地であり、三多気の桜でも知られている。またこの 牛峠と飼坂峠の中間に、美杉村の奥津(おきつ)というところがあ る。ここには松阪から出ているJR名松線の終点「いせおきつ」駅が ある。 
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             ↑ 別の機会に撮影した         三多気の桜と伊勢奥津駅
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左  12:50 飼坂峠(旧道の表示があった)  

右  13:08 道の駅美杉 
 
飼坂峠を下ると美杉道の駅が有るはず。はぁー......。休憩 してソフトクリームでも食べよう!!。  山奥の道の駅だが結構人がいる。自転車に錠をかけて店の中に入って、ソフトクリームを下さいと 声をかけようにも一人の女性が応対でうろうろするばかり。後ろ髪を引かれる思いで諦めた。次の 茶倉駅で食べることにしよう。ペダルを何回か回す間も忘れられなかった。よほど食べたかったん だねェ!。 
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 左 名水「鶯の水」

 
右 13:41, R368 

 
仕方なく(多分、とぼとぼと)走り出すと、次第に道が狭くなってくる。自分は道を間違えていないと思うが、国道にしてはえらく狭い。まるで林道。こんなアップダウンのきついところで道を間違えたらそれこそ悲劇。自転車を止めて車の来るのを待って確認することにする。なかなか来ないがやっと軽自動車が後方から来た。手を挙げて合図をしているのに行き過ぎてしまう。見ると自分と同い年くらいの女性とお婆さんが乗っていた。幾つになっても怖いのかな?(失礼)また次の車がくるのを待つ。今度は前からバイクの男性が来た。地元の人ではなかったが、間違っていないことを確認することができた。少し走ると民家が2〜3軒ある。先程の軽自動車も止まっていた。なんでもこの地区は由緒有る所らしい。R368の狭い坂道を下りながら「これ国道?この先どんな景色になるのやら」と思う。しかし、下りきると思わぬ景色になった。ほっとする風景。美しい田舎の風景が広がる。 
あんな本こんな本、峠集落


  「峠」という名の集落があった峠
あまりに道が狭く心細かったので、視界が 開けたとたんに懐かしい景色に出会って心 底嬉しくほっとした気分になった。まだまだ こういう地域もあるんだ。さて、この先は横野という交差点で道が分かれるので間違えないようにしないといけない。茶倉駅では必ずソフトを食うぞ!。もうこうなると、馬の鼻先にぶら下げた人参と同じだ。それがあるから走れるみたいに。横野交差点で右折する。 
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  13:55  飯南町 下仁柿の集落

 
1qあまりで茶倉!もう少々の坂道はがんばるっきゃナイ。道路からそれると更なる勾配の坂道。折りしも皐月咲く頃で、満開の花回廊を上って到着。店舗入り口横でお茶の試飲販売をしている。勧めに従って一杯よばれると美味しい。店内ではとりあえず腹ごしらえに茶そばを注文。坂道の途中にあって、更に上っただけあって眼下の櫛田川の流れが清涼感を誘う。お茶の本場から来てここでなぜ茶そばかわからないが、歯ごたえがあって美味しかった。さあソフトソフト。備え付けのよく冷えた美味しいお茶を飲みながらソフトをほおばる。納得至福。帰りがけに試飲販売のおばさんが「ペットボトル(自転車備え付け)を持って来てください、満杯入れてあげますから」と言う。生憎ボトルは空いていなかったのでお礼を言って断った。こういう所でお茶をよばれても、うんともすんとも言わず、お礼も言わない人が多いから気持ちが良かったのだろう。さて、ここから桜峠を越えると伊勢自動車道の勢和多気IC付近を経て平野部へでる。そうなればなんということなく伊勢神宮、二見浦から鳥羽へゴールだ。粥見から左折して桜峠へ向かうのに道がわからない。人家で尋ねる。どこから 来たかと聞かれたので「京都です」と答えると、わざわざ息子さんを呼んできてしまった。・・・いや、そんなに珍しいものでは無いと思うんだけど・・・。この辺りの人家には、表札の上にしめ縄がしてあった。どうも年中掛けてあるようだ。そのしめ縄の所に「笑門」と 書いてある。この話は長くなるので控えるが「蘇民将来子孫家門」の転訛と紹介しておこう。 
あんな本こんな本、注連飾り、蘇民将来子孫家門


 (左の写真は別の機会に撮影・笑門ではなかった) 
平野部に入ると坂道で筋力が付いたのか30Km/H超で快調そのものに走る。外宮についたがゆっくりお参りしている時間がない。取りあえず遙拝で済ませよう(不謹慎)。二見浦へ急ぐ。 
あんな本こんな本、伊勢神宮外宮

  伊勢神宮外宮16:19
 
あんな本こんな本、伊勢、夫婦岩


 二見浦の夫婦岩 17:00 
 伊勢神宮と二見浦は小学6年生の修学旅行で来たきりだ。二見浦には旅館が沢山あって、その内一つに宿泊したはずだが記憶がない。夫婦岩を見るために海岸沿いを少し歩いた。42、3年ぶりの景色だ。懐かしいと いうより、初めて来たみ たいな感覚で眺めている。振り返って思い起こすと手が届きそうにも感じるのに。しばらくして鳥羽へ向かった。近鉄鳥羽駅近くの戸田屋ホテルで入浴をしてから、輪行帰途に就いた。本当の遠足になりました。 


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