《私の本棚 第六十七》   平成14年10月   

    「雨季の歌」    タゴール   

 

雨のアシャル月、夕闇が濃くなってきた、

一日は暮れてしまった。

とどめもなく 雨はしのつく

流れをなして ふりしきる。


部屋のすみに ひとりすわり

なにを思おう 心まかせに、

雨まじりの風は ジャスミンの森に

なにを語ってゆくだろう。

とどめもなく 雨はしのつく

流れをなして ふりしきる。
 

         (注:アシャル月とは六月中旬から七月中旬)
 タゴールと聞いて、インドのノーベル文学賞受賞者だと思い浮かぶ人はそう多くないと思います。インドは日本人にとってなじみが少ない上に、人種、宗教、言語が複雑な国です。この雨季の歌は、ノーベル賞の対象になった本人英訳の 「ギタンジョリ (歌の捧げもの) 」 の中に含まれています。タゴールは詩人であり、音楽家であり、画家でもあったという事です。

 しかし、インドが本当に日本に関係が薄いかというと決してそうではありません。作家立松和平(参考)氏は、インド生まれの最高にして後世にもっとも影響を与えた文学は 「法華経」 だとも言っています。平家物語の冒頭で有名な祗園精舎遺跡もインドです。

 薬師寺にある平山郁夫画伯(参照)の大唐西域壁画の最後を飾る 「ナーランダの月」 もインドの仏教大学遺跡です。
 
薬師寺、金堂、あんな本こんな本



 薬師寺金堂

 
薬師寺





 
薬師寺、高田好胤


 故 高田好胤管長 書

 
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